野球のはなし

明日死ぬってどんな気持ちなんでしょうか。
自分の夢を未来に繋ぐために死を選ぶってどんな気持ちなんでしょうか。
年齢も立場も関係なく、自分の意志を持つことなど許されない時代で、全員がただ好きなもののために一生懸命になれることの奇跡。
奇跡を実現するために奮闘する大人と、奇跡を享受する少年たちの美しさ。
ひとりひとりにしっかりとスポットライトが当てられる、まるで群像劇のようだったからこそ、全員の想いが痛いほど伝わってきて。
ただひたすらにきれいで、優しくて、そして残酷な物語でした。
この物語はフィクションだけれど、きっとどこかであった話。今わたしが生きるこの世界は、そんな誰かが繋いだ世界。そんな風にも感じました。

カテコで安西くんが「ただ泣ける話ではなく、心を動かす話」と話していたのですが、まさにその通りだなと。
感情を殴られるというか、突き動かされるというか、悲しいからとか感動したからとかそういう理由ではなくて、なんで泣いてるのか自分でも分からず大号泣していました。
芝居で感情をブン殴られるの大好きなので、そういう意味でも大満足でした。

 

全体を通してのテーマは「繋ぐ」なのかなあと個人的に。
「自分ではなく、人のために、繋ぐんだ。」という新くんのセリフ。これがすべてだと思います。贔屓目もあるんですけどね。
全員が同じ夢を見て、でも自分のためではなく、人のために、未来のためにその夢をつないでいく。
そこには純粋なまっすぐ感情しかなくて、彼らは希望を信じていて。
だからこそ、とてもきれいでとても残酷で。

静くんに寄り添って観てた方、辛すぎませんでした…?ひとり希望として遺されるだなんて、そんな。
ひとりひとりの心に残ったところについてもあれこれ残したいんですが、それはまた機会があれば。(ちなみに伏ヶ丘の1.2.3番バッターにメッタメタにやられました。)

 

そして完全に自己解釈ですが、副題について。
最後均ちゃんが敵軍に特攻する姿を見て、これが飛行機雲になるということ、放物線を、ホームランを描くことなのかなあと思いました。
こう表現することは皮肉になるのか賛辞になるのか、自分でもわかりません。
ぜひご意見聞かせてください。

 

最後に。

今、大好きな人のお芝居を、お芝居を観るという大好きな事を、当たり前にできる時代に生まれて幸せだなあと強く強く思いました。
彼らに感謝をするのはまたちょっと違うと思うのですが、今こうして好きなことができる今を大切にしなければならないと思いました。

だからこれからもわたしはたくさん舞台を観に行くし、良いな好きだなと思ったことはどんどん声高に発信していきたいなって思います!

 

おしまい!

ひのえ